の導入事例

取材協力:2023.5

支払代行の管理基盤をSalesforceとRaySheetで実現。
全拠点で管理方法を統一化し、数万件を超える案件の管理業務を効率化

司法書士法人 杉山事務所様

司法書士 杉山事務所様
※ 事例記事の内容や担当者所属は取材当時のものです。最新の情報と異なる場合がございますのでご了承ください。


過払い金の回収や債務整理などに強みを持つ司法書士法人杉山事務所では、債務整理における支払い代行の仕組みをSalesforceにて構築、数万を超える案件数を効率的に管理するための可視化の仕組みとして、Salesforceのオブジェクト情報をExcelライクな画面で一覧表示が可能なRaySheetを導入している。その経緯について、高橋 裕也氏、そして開発を手掛けたフロッグウェル株式会社 水谷 哲矢氏、合田 圭氏にお話を伺った。


【課題】事業拡大に応じて事務所業務のシステム化が急務に

過払い金返還や債務整理などを中心に全国8つの支店を展開している司法書士法人杉山事務所。過払い金に関する豊富な経験とノウハウを有しており、毎月10,000件を超える相談件数を誇るなど債務者からの信頼も厚い司法書士法人だ。遺産相続や不動産登記といった業務も手掛けており、多様化する依頼者の困りごとに真摯に向き合っている。

同社では、ExcelやAccessなどをベースに業務基盤を構築し、日々寄せられる顧客の相談管理や案件管理などを行ってきたが、相談件数の増加や全国に広がる事務所の設置など事業規模が急速に拡大するなかで業務基盤としての拡張が必要になった。円滑に情報共有しながら業務が推進できる新たな業務基盤の整備を目指すことになったのだ。

「事務所ごとに属人的な管理が行われており、Excelなどもバラバラの使い方で日々の業務を行ってきましたが、業務を効率的に行うためにもDBに情報が集約できるような業務フローへの移行が求められたのです」と高橋氏は説明する。

そこで、数年前にコールセンター業務のために導入したSalesforceを軸に、債務整理に関連した支払い代行システムなどの事務所業務を新たに構築することに。

「相談が寄せられるコールセンターにて受任した案件の進捗管理などが一気通貫で実施できるよう、業務基盤としてSalesforceが最適だと判断したのです」と高橋氏。

ただし、社内に専任のシステム担当が不在だったことから、外部パートナーに委託する形で業務フローをシステムに実装するための環境整備に取り掛かることになった。

課題概要

Salesforce + RaySheet導入前の課題

  • 相談件数の増加と事業規模の拡大により、Excelに変わる支払い代行の管理基盤が必要になった
  • 事務所ごとに管理方法が異なるため、業務フローの統一が求められた
  • 案件に関する情報をデータベースに集約したかった

【選定】限られた予算だけに、Salesforceによる業務フロー構築に欠かせなかったRaySheet

新たな環境づくりにおいては、士業における業務基盤構築に実績を持つフロッグウェル株式会社がセールスフォース・ジャパンから紹介され、債務整理に関連した支払い代行システムの基盤づくりを依頼することに。支払い代行とは、債務を持つ依頼者からお金を預かり、複数の債権者に対して分配していくもので、受任した段階から債権者との交渉を行い、返済計画に基づいて債権者ごとに振込のための銀行データを生成していくことになる。

「支払い代行の業務フローをSalesforceにて実現するためには、標準的な機能を使うか、個別に開発していくことが選択肢として考えられます。ただし個別開発の場合、数千万単位での費用が発生してしまうため、お客様(杉山事務所)と相談の上個別開発はしない方針で進めることにしました」と語るのは水谷氏だ。

支払代行システムの構築は、案件情報から弁済計画、計画に基づく入金の管理や消込管理といった多数のオブジェクトを連携させるため階層が深くなることが想定された。階層の深いオブジェクトに対して、標準機能で業務フローを組むと、データの更新作業が発生するたびに事務員の操作負担が大きくなることが目に見えており、毎月数千件もある支払業務が発生する状況では、現実的な運用は難しいと判断したという。

そこで注目したのが、Salesforceの各オブジェクトから情報を取得してExcelライクな一覧画面で視認性を高め、案件情報を一元管理できるRaySheetだった。

「標準機能だけでは事務員の負担がかえって増えてしまいますし、開発するにはコストが大きく膨らんでしまう。何年にもわたって士業に導入してきた経験から、ちょうどRaySheetをうまく適用すれば最適なものが実現できると提案させていただきました。使い勝手の面や開発に慣れていることからも、RaySheetが事実上一択でした」と水谷氏。

多くの士業同様、Excelを使われている士業も多いことから、現場にも馴染みがあると考えたという。その結果、支払い代行システムとしてSalesforceとRaySheetを組み合わせた業務基盤を整備することになる。


【効果】視認性を高めるRaySheetがSalesforceでの実装を容易に

■ 支払い代行の仕組みをSalesforce+ RaySheetの組み合わせで実現

現在は、コールセンターおよび事務員合わせて数百名がSalesforceを活用して問い合わせ管理や案件管理などを行っており、そのうち事務員や経理担当者など多数のスタッフがRaySheetを活用しながら支払い代行に関連した業務を行っている。Salesforce導入後の新規契約案件に関しては、SalesforceとRaySheetで管理を行っており、毎月数千件の案件が新規に登録されており、すでに数万の案件情報が新たな支払い代行システムにて運用しているとのこと。

「任意整理での支払い代行では、債権者との交渉から支払い終了まではおよそ5年超というスパンで案件管理を行っていきます」と髙橋氏は説明する。

実際の業務に関しては、事務所やコールセンターが債務整理の相談を依頼者と行い、契約を交わした段階でSalesforceに案件情報に関するレコードを作成。同社所属の司法書士と返済計画を立案して債権者と交渉を実施する。返済計画が決まった段階で依頼者からの定期的な入金情報を管理しながら、支払い計画に則って銀行データを生成し、支払い代行業務を行っていくことになる。この業務フローに必要な各種情報はSalesforceの各オブジェクトに格納され、それらの情報をRaySheetにて一覧画面で表示しながら進捗状況を確認する流れだ。

「依頼者に対してどの会社からいくらの借入金がそれぞれあるのか、その借入金に対してどんな返済計画を立てたのか、依頼者からの入金状況がどうなっているのかといった案件ごとの情報が各オブジェクトで管理されています。標準機能で1つずつ修正するのは大変なため、案件一覧画面をRaySheetで作成し、進捗が一目で把握できるようにしています」と合田氏は説明する。

RaySheetに表示された案件一覧に関しては、条件付き書式を設けて各ステータスが色分けできるように設定されており、例えば入金予定日に入金がない場合でもすぐに把握できるなど、期限管理を軸にステータスが判断できるようになっている。

「以前は事務所ごとに現場の各担当者が手作業でExcelに色を付けるなどで管理・運用していただいていましたが、今はRaySheetの条件付き書式を設定することで条件に応じた色分けが自動的に行われるので、事務所ごとの違いが吸収されて統一した環境で運用ができています。」と合田氏。また、依頼者からの入金が遅れている場合などに督促の電話を行うが、このリストをRaySheetにて作成するといったことも行われており、全体的な業務効率化が進んでいるという。

RaySheetはSalesforceのデータをExcelライクに入力/編集できる機能を提供
▲ RaySheetはSalesforceのデータをExcelライクに入力/編集できる機能を提供

なお、現場への展開については、髙橋氏が操作方法をマニュアル化し、手順書として配布することが中心で、特別勉強会などは実施していない。

「事務員ごとにリテラシの差があるため、基本的にはマニュアルに沿った活用のみを行ってもらい、イレギュラーが発生した場合に私の方で対応する運用です。手順書通りに作業してもらえば問題なく運用できています。ただ、標準機能での運用では複雑な操作手順が必要だったはずで、RaySheetがあったからこそ、シンプルなマニュアルで運用できています」と髙橋氏は説明する。

■ 業務の効率化に貢献、ガバナンス強化にも一役

新たに支払い代行システムを稼働させたことで、入金データを銀行から取り込んで出金データに変換するといったデータ処理にかかる時間が大幅に短くなるなど、業務の効率化に大きく貢献しているという。

「RaySheetのおかげでデータの視認性が高まり、仕事がしやすくなっているのは間違いありません。RaySheetでソートすれば、税別か税込かの誤入力なども簡単にチェックできるなど、データメンテナンスも容易になっています」と髙橋氏は高く評価する。

また情報基盤としてデータが一元管理できるようになり、ガバナンスの強化にも繋がっている状況だ。

「以前は事務所ごとに別法人のような個別管理が行われていましたが、今は管理者側で設定によって制御することで、業務のムラを解消することができています。管理面でも効果が高い」と高橋氏の評価も高い。

担当する事務所以外の拠点に依頼者から電話があった場合も、以前は各事務所で管理していたExcelをそれぞれ開いて担当事務所や担当者を探す必要があったが、今はRaySheetにて電話番号を検索するだけで違う事務所の担当者まで特定でき、スムーズに問い合わせ対応が可能になるなど、顧客対応の品質向上にも一役買っている状況だ。

効果概要

実際に開発を手掛けた水谷氏は、RaySheetがあったおがけで定着化に大きく貢献し、顧客の期待に応える実装が実現できたと評価する。

「開発したものを現場に定着化させることに普段から重きを置いており、おそらく標準機能だけでは現場が混乱しただろうと想像されます。RaySheetがあることで、新しい方が入ってもキャッチアップしやすいはず。開発面では、確かに一から開発した方が機能もリッチなものが作れますが、費用もかかるだけでなく、改修するタイミングでも多くの費用がかかってきます。ある程度パッケージ化されたRaySheetがあったことで、落とし所としてはとても良かった」。

■ データ投入の自動化など更なる効率化を進めながら、Salesforceへの業務統合を進めたい

すでに支払い代行システムは稼働しているが、銀行データの取り込みなどはSalesforce標準のデータローダを活用して手作業にてデータを投入している。この手作業での取り込みを自動化するための開発に着手しており、さらなる業務効率化に向けた環境整備を続けていく段階にあるという。また、Salesforce導入以前の案件はいまだにExcel管理が続いているため、既存データを保管していくための基盤としてもSalesforceへの移行を前提に進めていきたい考えだ。

現状は支払い代行システムについてSalesforceとRaySheetにて実装できているが、最終的には全てSalesforceにて一元管理できる環境を整備していきたいと高橋氏は期待を寄せている。

「CRMとしての環境が実現できていないため、いずれは顧客管理の基盤としてSalesforceを根付かせていきたい。また、広告の投資から最終的な決算に向けての会計システム連動など、現状は多くの場面でExcelが使われています。Excelライクなところから離れたいという思いはありますが、いきなり環境を大きく変えるのは難しい。そのステップとしてRaySheetには大きく期待しています。そして最終的には、全ての業務をSalesforceにて統合していきたい」と今後について高橋氏に語っていただいた。

Salesforce + RaySheetの導入効果

  • 属人化した支払い代行の管理をSalesforceとRaySheetで統一したことで全体管理が楽になった
  • Excelライクなソートやフィルタ機能により、抜け・漏れのチェックが容易
  • RaySheetにより現場担当者の使い勝手か向上したことで、Salesforceが定着

【この事例の導入支援パートナー】

フロッグウェル株式会社

クラウド上のツール・システムの新技術をそれぞれのビジネスにあった組み合わせで活用することにより、企業のビジネスの加速を支援しているSI企業。

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企業情報

司法書士法人 杉山事務所様

司法書士法人 杉山事務所様

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