取材協力:2025.4
販売促進費管理業務の大幅効率化で担当者を3分の1に、
紙を月間1,000枚削減
株式会社マンナンライフ様
※ 事例記事の内容や担当者所属は取材当時のものです。最新の情報と異なる場合がございますのでご了承ください。
こんにゃくゼリーを製造・販売する業界最大手として知られる株式会社マンナンライフは、情報の共有化を目的としてSalesforceを導入し、営業部の業務改善を推進。ただ、販売促進費の管理業務は非効率なままで、早急な対応が必要だった。そこで同社は2024年、課題解決の方策としてRaySheetを導入。業務の自動化・効率化を実現し、販売促進費管理に係る事務員を3分の1に削減するなど大きな成果を上げた。同社がなぜRaySheetを採用し、いかにして業務改善を進めたか、営業部 営業課長の林俊寛氏と管理部の齋藤嘉則氏にお話をうかがった。
【課題】販売促進費の管理業務の効率化、既存の管理システムのリプレイスが急務に
株式会社マンナンライフは、群馬県富岡市に本社を構え、同県特産のコンニャクイモを使ったこんにゃくゼリーを製造・販売する、いわずと知れた業界最大手だ。1964年にこんにゃく製造業者として創業した同社は、1992年に販売を開始した「蒟蒻畑」の大ヒットにより、こんにゃくゼリーのパイオニアとしての知名度とブランド力を確立。現在は「蒟蒻畑」ブランドを中心に、クラッシュした蒟蒻畑とジュレの2つの食感を楽しめる「ララクラッシュ」、パウチタイプの「クラッシュタイプの蒟蒻畑」という計3つのブランドを展開している。
そうした事業に取り組む中で、同社は2019年、情報の共有化を主な目的にSalesforceを導入した。それ以前の同社では、営業部の各担当者が、営業の報告書や活動で得た資料などの管理をExcelで個別に行っていた。そのため、社内で情報を円滑に共有できない、業務が属人化している、といった課題があったのだ。
その解決に向けて同社は、Salesforceを営業部に導入。営業活動の報告書などの共有から利用し始め、その後活用範囲を市場調査結果や特売情報などのデータの蓄積・管理へと広げていった。そのようにSalesforceで情報の一元化・共有化を進めた結果、管理職の情報確認がスムーズになる、業務の属人化が軽減されるなど、営業部の業務は大きく改善された。
ただ、その時点ですべての課題を解決できたわけではなかった。営業活動の主軸である販売促進費の管理方法は非効率的なままだったのだ。もともと同社では、営業事務の3名の担当者が、顧客から届く販売促進費に関する紙の請求書の内容を集計・確認し専用システムに手入力してから印刷し、それぞれの請求に関わるすべての営業担当者に配布していた。営業部 営業課長の林俊寛氏は当時の様子をこう語る。

営業部 営業課長
「営業事務の負担は非常に大きく、担当者はその業務にかかりきりという状態で、ノウハウも属人化していました。しかも、3名の担当者のうちの2名の定年退職が近づき、以後この管理方法を継続できなくなるという差し迫った状況でした。また、営業担当者に配ったり、管理部で保管したりするため、毎月1,000枚単位の紙を印刷・消費しているという問題もありました」(林氏)
加えて、販売促進費を管理するシステムにも難があった、と管理部の齋藤嘉則氏はいう。
「フルスクラッチのシステムで、導入当初は業務効率化に寄与していたのだと思います。しかし、導入したときから比べ、ビジネス環境が大きく変化しました。そこでペーパレスや承認の電子化など、時代に即した仕組みへのリプレイスを開発ベンダーにお願いしたのですが、当社のやりたいことすべてを実現するのは難しいという回答で、断念せざるを得ませんでした。また、ローコードツールでアプリ開発している別のベンダーへの委託も検討しましたが、運用・保守にコストがかかりすぎると感じていました」(齋藤氏)

管理部

Salesforce + RaySheet導入前の課題
- 営業に関する情報をExcelで個人管理していたため、情報の共有不全、業務の属人化などが問題となっていた
- Salesforce導入で上記課題を克服したが、販売促進費の非効率的な管理業務は改善できなかった
- 販売促進費の管理をより効率化するため、新たなシステムへのリプレイスが必要だった
【選定】使い慣れたExcelと同様の操作性で、業務改善の入口となるツールとして最適と判断
販売促進費の新たな管理方法を模索する中、同社はRaySheetの存在を知った。その経緯について、齋藤氏は次のように話す。
「せっかくSalesforceを導入して営業部のデータ基盤になったのだから、どうにかその中で販売促進費も管理できないものかと考えました。ただ、Salesforceの標準のインターフェースのままでは難しそうで、なにか手を加える必要があると思いました。それでSalesforceのベンダーであるビーアイピー株式会社に相談したところ、RaySheetを紹介されたのです」(齋藤氏)
ビーアイピーの塚原裕樹氏は、RaySheetを提案した理由についてこう補足する。
「営業部や管理部の方はExcelに慣れているということでしたので、Excelライクな見た目と使い勝手のRaySheetならとっつきやすく、新たな業務プロセスの入口となるツールとして最適だと考えました」(塚原氏)

ビーアイピー株式会社
実際、RaySheetは抵抗なく社員に受け入れられてスムーズに業務に定着した、と林氏はいう。
「Salesforce導入時もそうでしたが、新しい仕組みを入れると、最初はどうしても拒否反応が出るものです。しかし、RaySheetに関しては、使い勝手がExcelと非常によく似ているということで、そうしたことはありませんでした」(林氏)
【効果】「本当に助けられた」販売促進費管理に欠かせないツールとしてすぐに浸透・定着
■ 承認フロー自動化など、販売促進費管理の業務が大幅に効率化され、引き継ぎも円滑に
同社は2024年4月、RaySheetの運用を開始した。Excelと同様の操作でSalesforceにデータを入力・管理できるRaySheetと、データを共有できるSalesforceの連携利用によって、販売促進費管理の業務内容は簡素化され、所要時間が大幅に短縮された。
従来、販売促進費管理における請求書の処理業務は、煩雑な承認フローになっていた。まず、営業事務側で販売促進費をエリア担当者ごとに集計し、専用システムに入力する。次に、営業担当者が印刷された帳票を確認し、上司に承認印を押印してもらう形で確定処理を実行する必要があった。しかも、管理部側では、担当者単位で分割された請求額を再集計し、整合性を確認する作業が発生していた。その作業がRaySheetとSalesforceによって効率化されたのだ。
「RaySheetによって計算は自動化され、また承認申請も関係者に自動通知されてSalesforce上で承認を得るだけになり、作業の時間と負担が大きく削減されました。承認フローを紙で回していた頃は、出張中の社員のところで滞留したり、帳票がどこにあるのかを探したりするなど、締日が近づくと一つひとつ確認する手間がありましたが、もちろん今はありません。振り返ると、今までは紙ベースでの処理が中心でしたので、営業部・管理部ともに “作業”が多く、RaySheetとSalesforceでそのあたりの無駄を省けたのだと感じます」(齋藤氏)
結果として、従来3名の営業事務員で行っていた業務を現在では、取りまとめから入力までの業務を1名で、しかも他の仕事を兼任しながらこなせるようになった。あわせて手入力する業務をかなり削減できたため、販売促進費管理の業務負担も軽減することができた。
「RaySheet導入前、ベテラン担当者からは、新しいシステムを導入して現在と同様の業務をすることは難しいといわれていました。しかも業務を引き継ぐ若手は経理に関して初めての社員でしたし、仕組みを作る我々(林・齋藤)も専任ではありませんでした。しかし、RaySheetの基本操作はExcelと同じなので、仕事の仕組みとすべきことさえ理解すれば、誰にでもすぐにできるようになります。もちろん、ビーアイピーの塚原さんに、使いやすい仕組みを開発していただき、伴走支援していただいたからこそですが、約2か月で問題なく引き継ぐことができました。RaySheetを導入して本当に大成功だったと思います」(林氏)
SalesforceとRaySheetの連携利用によって、社員の働き方も大きく変わった。前述の通り、営業部では従来、顧客からの請求書を各担当者がExcelや紙で個別に管理していた。そのため、請求書の確認や訂正、承認申請、顧客への連絡などの処理は、社内にいるときでなければ行えなかった。しかし、営業担当者は出張が多く、社内にいる時間は限られている。そのため、社内業務の日には、請求書の処理業務が最優先になってしまう、もしくは残業の要因となっていた。
「今はパソコンさえあれば、出先からでもSalesforceとRaySheetを使って請求書の内容確認や支払いに向けた処理を行えます。担当者からは、『時間の使い方の自由度が上がり、業務効率が向上した』という声が上がっています」(林氏)


■ 販売促進費管理に係る事務員を3分の1に削減、紙を月間1,000枚超削減など大きな定量効果
RaySheetの導入により、紙ベースだった販売促進費管理をSalesforce上で完結できるようなったことは、管理側にとっても大きなメリットになっている。
「たとえば、通常の販促活動以外で予算を使った際、稟議書などのエビデンスをつけるのですが、従来はそれらを紙で保管し、基礎データを営業個人が管理していました。そのため、探すのが大変だったり、必要な処理が漏れたりすることがありました。今ではDropBoxと連携させつつSalesforce内で稟議書や付属資料などのデータを一元管理できています。さらにRaySheetで稟議書と請求書の個別明細を紐づけられるので、管理が非常に楽になりました」(齋藤氏)
さらに林氏は、RaySheetによってデータ活用に対する社員の意識が変わった、と指摘する。
「RaySheetはExcelと同様にデータをエクスポートできるので、紙ベースでは難しかったような販売促進費管理におけるデータ分析を行えるようになりました。たとえば、請求書の支払いのデータを蓄積・分析することで出荷ベースでは気づけなかったことがわかったり、単なる請求処理・支払いだけでなく各担当者の手間が削減できた分を次の販促活動に活かしたりするなど、さまざまな取り組みが始まっています」(林氏)
そうしたSalesforceとRaySheetの連携活用は、定量的に多大な効果を生み出している。まず、販売促進費管理の人員は、前述の通り3分の1に削減された。しかも、以前は3名の合計で1ヵ月240時間程度を費やしていた作業を、1名が約1週間、つまり6分の1程度の時間でこなせるようになった。
また、紙の削減効果もきわめて大きい。以前は、請求書の原本として月間で約1,000枚の紙を印刷・管理していた。現在は、販売促進費管理を原本のデータだけで運用できるため、紙の保管コストは大きく低下し、極論すればいつでも紙をゼロにできる状態だという。
これまでの取り組みと効果を踏まえ、齋藤氏は今後の展開について次のように話す。
「RaySheetは、Excelさえ使えれば直感的にいろいろな仕組みを作り、業務を改善することができます。当社ではいまのところ、Salesforceを利用している営業部に限っての話ですが、たとえば商談の記録をRaySheetで入力できるようするなど、活用の幅をさらに広げていきたいと考えています」(齋藤氏)
最後に林氏は、課題解決のためにRaySheetを採用したことについて、改めてこう振り返った。
「非常に満足度が高く、ひと言でいうと『本当にRaySheetに助けられたな』と。当社に限らず、おそらくどの業界・企業でもExcelは使われているので、ExcelライクなRaySheetは抵抗なく受け入れられ、使い続けられると思います。ツールを導入したものの使われずに終わってしまうパターンが多いだけに、RaySheetは本当におすすめできるツールです」(林氏)

Salesforce + RaySheetの導入効果
- 承認フローの自動化など、販売促進費管理の業務が大幅に効率化され、人員を3分の1に削減
- 販売促進費管理の業務を社外からでも行えるようになり、仕事の効率と自由度が向上
- 請求書の原本・保管用として印刷・管理していた月間1,000枚超の紙を削減
【この事例の導入支援パートナー】

ビーアイピー株式会社
ITを通じてビジネス成功の役に立ち、新たな価値創造を実現するシステム開発企業。セールスフォース・ジャパン社に認定されたパートナー企業として200社以上のSalesforceの導入実績を持つ