取材協力:2023.9
情報登録するたびに待ち時間が発生するSalesforceの入力体験を改善
快適なレスポンスを実現するための切り札として活躍するRaySheet
因幡電機産業株式会社様
※ 事例記事の内容や担当者所属は取材当時のものです。最新の情報と異なる場合がございますのでご了承ください。
空調や音響、ビル・マンションの制御盤といった電設資材や産業機器などの卸販売および空調部材などの製造販売を幅広く手掛けている因幡電機産業株式会社では、電設資材事業、産業機器事業、自社製品事業の3つのセグメントを4つのカンパニー制で展開している。その中の電設カンパニーにおいてSalesforce上で営業支援システムを構築しており、営業ごとの売上に関する予実管理にRaySheetを活用している。その経緯について、電設カンパニー 企画室 稲葉 玲児氏にお話を伺った。
【課題】入力確定のたびに時間を要すなど、入力体験の改善が望まれた
1938年に因幡電機製作所として創業し、電設資材業界の専門商社として事業を展開している因幡電機産業株式会社。現在は住宅やオフィスビル、公共施設をはじめとするさまざまな建物・設備に対して電線ケーブルなど電設資材を提供する電設資材事業をはじめ、制御機器やロボットを組み合わせたシステム提案を行う産業機器事業、そして空調用被覆銅管など自社ブランドとして商品展開している自社製品事業の3セグメントにて事業を推進している。
そんな同社では、中長期的な成長を見据えて、2019年に事業部制からカンパニー制へ移行しており、現在は電設、電材、電工、産機という4つのカンパニーを設置している。そのうち、発電機や制御盤、音響設備といった大型の商材を手掛けているのが電設カンパニーだ。電設カンパニーでは、工場やオフィスビル、学校といった大型建築物での電気設備案件の営業管理の基盤としてSalesforceを現場が主体で導入しており、数年前から運用してきた経緯がある。
「Salesforceで案件の予実管理を行っているのですが、営業担当者が案件ごと、月ごとに商材金額を入力する際のレスポンスに課題を抱えていました。さらに、入力インタフェースはSalesforceの独自言語であるApexで作り込んで開発したため、Salesforceがアップデートする際に不具合が起きるなどの課題が顕在化していたのです」と稲葉氏は当時を振り返る
電設カンパニー 企画室
具体的には、受注に至ったものと受注に至りそうなフェーズにある案件の情報を示す「BDリスト」というオブジェクトをカスタマイズで作り込んであり、案件に付帯している商材の売上見込みと実績を月ごとに管理している。BDリストは受注後、施工を進める中でどの商材の売上がどの月に立ち、利益はいくらだったのかを月ごとに登録するもので進行中案件の途中実績が把握できるようになっている。
営業担当者は自分の案件ごとに商材の金額と利益を入力することになるが、必要な情報を検索して表示させ、商材ごとの金額を入力して確定するたびに保存の時間を要していたという。案件の数が増えるたびに待たされる時間が積み上がってしまい、登録数が多いケースでは全体の数字を管理するサマリー画面に戻るまでに10秒ほど待たされることもあったという。
営業担当者の入力体験を改善するべく、Salesforce上で予実管理の負担を軽減するための新たな基盤の導入を検討することになったという。
RaySheet導入前の課題
- Salesforceで進行中案件の予実を月ごとに管理しているが、入力時のレスポンスが遅い
- Salesforceがアップデートされると作り込んだオブジェクトに不具合がでることもある
【選定】使い勝手が高く、スプレッドシートに関するソリューション実績を高く評価
BDリストはもともとExcelで行っていたものをSalesforceに移行したものだったそうだ。そこで、Salesforce上で元のExcelのようなユーザーインタフェースを構築し、快適なレスポンスが実現できる仕組みを目指したという。まずは、Google SpreadsheetにSalesforceのデータを連携させる海外製の無償のソリューションを検討したそうだが、技術的なサポートや情報の収集が英語になってしまうためハードルが高かったとのこと。
そこで注目したのが、メシウス(旧グレープシティ)が提供するRaySheetだった。日本の企業が開発・販売しており、Salesforce上にExcelとほぼ同じ使い勝手の画面をノーコードで手軽に構築できる点がよかったという。
「他のソリューションも検討するなかで、手軽にExcelライクな画が作れて、一括入力やフィルタリングも圧倒的に使いやすかったのがRaySheetでした。実はメシウスのほかの事業部が提供しているSpreadJSと呼ばれるスプレットシートのJavaScriptライブラリを以前から利用しており、実績という面で一日の長があったのです。その実績から安心感が得られたことも大きかった」と稲葉氏は説明する。
結果として、Salesforceの使い勝手を向上させる仕組みづくりの一環として、RaySheetが選択されることになったのだ。
【効果】Salesforceの入力体験を最大化するRaySheet
■ レスポンスは以前の3分の1、情報入力の生産性に大きく貢献
現在は、電設カンパニーに所属する営業部門が利用するSalesforceにて構築した営業支援システムの予実管理や商談フェーズ管理の部分(BDリスト)にRaySheetを適用。まだ従来のSalesforce標準の環境も並行稼働しているが、最終的には営業担当者を中心に250名ほどのユーザーがRaySheetを活用する予定となっている。
RaySheetを使うことで物件名や商談フェーズ商材、金額といった入力負荷を減らすために複数のサブウィンドウを1画面にまとめて表示。画面遷移せずに一気に入力できるため、以前のようにその都度対象の画面にアクセスして表示を待つ時間はほとんど発生していない。また、入力が必要な月だけを表示させることで快適なレスポンスで作業できるという。複数のオブジェクトを1画面にレイアウトする機能や表示対象を絞り込むための検索用のUIといったRaySheetの機能を活用して業務フローに合わせた使いやすい画面を構築したとのこと。
さらに、営業管理者向けにはRaySheetのピボットモードを使い担当者ごとの売上見込みや実績の集計画面も構築。対象月や担当者ごとの集計結果がすぐに表示できるようになっている。
担当者選択や商談ごとのフェーズ及び商材、金額入力が1つの画面で快適に入力できるようになったことで、レスポンスは以前の3分の1程度にまで短縮でき、操作性や時間短縮によって情報入力の生産性向上に大きく貢献しているという。
「まだ全員がRaySheetに移行できているわけではありませんが、快適なレスポンスが確保できたことで現場からも好評です。慣れの問題はありますが、徐々に移行していきたい」と稲葉氏は語る。
RaySheet自体の管理や画面の構築は全て稲葉氏自身が開発を行っているそうで特段問題なく設定することができたという。
「どの項目をどのように表示するかRaySheetの設定画面でいろいろ試しながら画面を構築できるので、動きがイメージできますし、一度覚えてしまえばパターン化されるため、さほど難しいことはありません。最初に触ってやり方を覚えれば、ITスキルや経験の少ないメンバーでも十分使うことができます」と評価する。
サポートへの問い合わせについても大きな不満はなく、的確に回答が得られているとのこと。必要な情報入力のストレスが軽減され、Salesforceへの入力が進むことで管理項目の的確な把握も可能になっている状況だ。ただし、現場からの評判は概ね好評ながら、Excelそのものの使い方に習熟していないメンバーもいるため、使い方については引き続き丁寧に説明しながら、啓蒙活動を続けていくという。
■ 現場のExcel業務をRaySheetにて展開、さらなる使い勝手の向上を目指す
今後については、引き続き使い勝手の向上や利用率向上に努めていきながら、予実管理とは異なる領域へのRaySheet展開を進めていきたいと意欲的だ。「商談管理などSFAの領域については、現場からすればあくまで報告業務であり、その部分に色々手を加えても響きにくいのが本音です。そうであれば、業務として必要なものをSalesforceに展開していく方が現場としてはうれしいはず。例えば営業サイドでは個別にExcelで管理している商材ごとの現場対応FAQや案件ごとにガントチャートで進捗確認しているプロジェクト管理的なものが残っており、それらをExcelライクなRaySheetをうまく活用し、Salesforceの基盤へ乗っけていけるように現場へのヒアリングを進めていきたい」と稲葉氏。
また、業務のなかでは常に申請承認の行為が発生することが多いため、ワークフロー的なアプローチについて期待を寄せている。
「確かにSalesforceと連携することでできることはありますが、RaySheetのなかでチェックボックスを設けて申請したものを上長がチェックして承認するような仕組みがあれば便利なはずで、現場が望めば実装していく可能性は十分ある」と稲葉氏に今後について語っていただいた。
Salesforce + RaySheetの導入効果
- BDリストをExcelライクな一覧UIできたことで営業の入力時間が以前の1/3に軽減
- ノーコードで手軽に設定できるので、Salesforceの入力画面の構築が容易