取材協力:2021.12
Salesforceへのデータ投入を容易にする環境づくりを支援
顧客管理基盤の利用率向上に大きく貢献するRaySheet
株式会社遠藤照明様
※ 事例記事の内容や担当者所属は取材当時のものです。最新の情報と異なる場合がございますのでご了承ください。
照明器具メーカーとして空間に新たな価値を提供し続けている株式会社遠藤照明では、営業活動に欠かせない顧客管理および案件情報管理の基盤としてSalesforceを導入、情報の一括更新や日々の商談情報入力を容易にするための仕組みとしてグレープシティが提供するRaySheetを活用している。その経緯について、営業本部 営業推進部長 松田 和樹氏、同部 分林 是典氏および情報システム管理部 福田 祥之助氏にお話を伺いました。
【課題】分散した情報をSalesforceに集約できるよう、入力しやすい環境が必要に
1967年に創業以来、百貨店やホテルなど商業施設をはじめ、オフィスや工場、学校までさまざまな分野に照明器具を提供している株式会社遠藤照明。LEDの可能性を徹底的に追求しながら照明器具のデザインから製造・販売、そして空間の照明提案に至るまで光サービスを一貫し提供する照明事業を中心に、LED照明器具や環境ソリューション機器のレンタルを柱とするコンサルティング事業を推進する環境ソリューション事業、照明と家具の相乗効果を活かして空間づくりをサポートするインテリア家具ブランド「AbitaStyle」を展開するインテリア家具事業を手掛けています。より少ない資源とエネルギーで豊かな光環境を実現する”エシカルライティング”を提唱し、顧客のお要望を追求しながら空間に優れた「価値」を創造しています。
そんな同社では、長年効率的な顧客管理を実現するための環境づくりに取り組んできており、古くは旧IBM Notesを利用した環境づくりや顧客管理パッケージによる基盤づくりを進めてきた経緯があります。「これまでさまざまな基盤にて顧客管理基盤の構築に挑戦してきましたが、営業部門の要望に柔軟に対応できる基盤整備には至らず、業務基盤として根付かない状況が続いていました」と松田氏は当時を振り返ります。そこで、新たにSalesforceを活用した顧客管理基盤の整備に着手することに。「海外にも事業展開していることから、言語対応も含めて柔軟に活用できるクラウドサービスとしてSalesforceを選択し、営業部門の業務基盤として運用をスタートしたのです」とのこと。
営業本部
営業推進部長
Salesforce導入後は、営業担当者が担当顧客に対する活動報告や進捗を入力しやすいようカスタマイズを含めて環境づくりを進めてきたものの、Salesforce ClassicからLightning Experienceへの変更に伴って、一覧上でのインライン編集ができなくなるなどの課題が改めて浮き彫りになったそうです「Salesforceを中心に業務基盤は整備できていたのですが、事業部ごとに管理したい項目がそれぞれ異なっており、共通項目についてはSalesforce上で管理できるものの、事業部固有の情報については手元のExcelなどで管理せざるを得ない状況が続いていました。そこで、Lightningの切り替えのタイミングで、使い勝手をさらに高めていけるプラグインの導入を検討したのです」と分林氏は説明します。
営業本部
営業推進課
Salesforce導入前と導入後の課題
- 営業部門の要望に柔軟に対応できる顧客管理基盤が整備できなかった
- 物件管理(案件管理)と顧客情報や活動が分断し、売上の傾向を把握しづらい
- Salesforceの導入により、物件管理と顧客情報や活動を紐付けられたものの、一覧上で一括更新ができないため営業部門の入力負担が大きくなった
【選定】現場に納得してもらえるExcelライクな仕組みに最適だったRaySheet
遠藤照明では商業施設のオーナーはもちろん、施設を設計する設計事務所、照明器具を販売する卸売店など、共通で管理できない項目も多く存在していました。「管理側としては、1つのシステムで情報を収集、蓄積できる環境が求められており、できる限り使い勝手よく現場の入力負担が減らせるような一貫性を保つことができる環境が必要だったのです」と松田氏。当初はGoogleのスプレッドシートに情報を展開し、営業担当者が情報修正したものを再度Salesforceに取り込む方法を検討したものの、それでは、従来のExcel管理とさほど変わらなくなってしまうと判断。そこで、Salesforce上でExcelのように直接データ入力ができるツールを検討することになりました。
その際注目したのが、グレープシティが提供するRaySheet。「AppExchangeで検索したところ、Excelのように使えるものとしてRaySheetを見つけました。他にも同様のソリューションはありましたが、見た目はExcel風でもセルに直接書き込めないなど、Excel同様に動かせるソリューションではなかったのです」と福田氏は語ります。
情報システム管理部
特に恐れていたのは、Excelのように使えると説明した後に、Excelと異なる動作だった場合、現場の反感を買ってしまうことでした。その意味でも、オブジェクトのデータがそのまま展開でき、Excel同様に扱えるRaySheetが高く評価されました。
RaySheetであれば、Excelのように直接セルが編集でき、営業活動の一括更新や日報としてまとめて閲覧できるなど、同社が望んでいた環境そのものが実現できます。「実際にRaySheetに触れた執行役員からも好評でした。従来は各部署から異なるExcel帳票で報告されていた顧客進捗の管理状況が統一して確認できるだけでなく、活動の一括更新なども容易です。役員からの後押しもあり、とんとん拍子で話が進んでいったのです」と分林氏。
営業推進部内で利用してみたところ好感触でした。その後1か月の試用期間に営業現場にRaySheetを使ってもらったところ、Excel同様の使い勝手が好評で、現場に広く展開していけると考えたそうです。「実際の顧客進捗管理のテスト版を作成して使ってもらったのですが、まさに普段入力しているExcelと同じ感覚だと好評でした。ただし、使いやすさゆえに現場からの要望がどんどん寄せられたことで、我々にとっては大変でした」と福田氏は振り返る。それでも、営業推進部から与えられた環境を使うだけでなく、RaySheetによって営業自らSalesforceのデータをどう活用すべきかを考えたうえで要望が寄せられるなど、マインドチェンジの大きなきっかけになったことは大きいとのこと。
【効果】Salesforceの活用を加速させるRaySheet、営業活動のPDCAを本部にて支援
■ 進捗管理が必要な業務の標準的なインターフェースとしてRaySheetを活用
2019年年末にLightningへバージョンアップを行った直後は、カスタマイズで一括更新機能など現場の使い勝手を高める実装を検討して、予算取りをしていたものの、RaySheetで課題を解決できることが分かり、検討からわずか2か月ほどで方針を転換し、RaySheetを現場に展開。「当初からやりたいことが明確だったため、顧客進捗管理の環境としてすぐに必要な環境を1~2か月ほどで一気に実装しました」と福田氏。現在は、営業担当者はRaySheetを見て進捗確認やデータの更新、レポート出力などを行っており、基本的にはSalesforceの詳細画面を直接営業が触ることはなく、進捗管理の標準的なインターフェースとしてRaySheetが活用されている状況です。なお、商談案件(物件情報)や見積りは以前から別システムで運用しており、その情報をSalesforceと同期することで各種進捗管理を行っています。
顧客進捗管理では、ターゲットとなる顧客に設定された目標に対して月次のアクションを決め、その状況を通じてPDCAを回していく管理帳票としてRaySheetを活用しており、顧客攻略のための課題設定から実行、そして振り返りと次の施策などの状況が1つのシート上で管理できるようになっています。また、同社が物件と呼ぶ案件の受注から納品までのプロセスを管理するための物件管理や、入札案件などの際に建設関係の顧客からステージに応じて提出する複数の見積状況を管理する見積管理など、進捗管理が必要な各業務に合わせてRaySheetが活用されています。「受注までのプロセスでは、販売促進の部隊と実際に販売する部隊が別セクションに分かれており、サブウィンドウでセクションごとの見積の進捗詳細などが確認できます。各部署での情報コミュニケーションのツールとしてもRaySheetが活用されています」と分林氏。部署ごとに絞り込まれた情報だけが確認できるだけでなく、必要に応じてフィールドの絞り込みも容易になりました。他にも、RaySheetにてチェックシートを用意し、年賀状の送り先を営業担当者に確認してもらうなど、さまざまな用途に活用しているそうです。
■ レポートの統一と二重入力の手間を削減、Salesforceの利用率向上に貢献
RaySheetを導入したことで、統一されたレポートとしてSalesforceが活用できるようになり、上層部に対して進捗や実績の可視化が容易になりました。全体の取り組み状況のリアルタイムな把握や打ち手の検討、そして数字の集計なども負担なくできるようになるなど、Salesforceが進捗管理の基盤として機能するようになったことが何よりも大きな効果だとのこと。「今ではSalesforceのデータを見ながら、リアルタイムで本部全体の施策の進捗率の確認など非常に役立っています。各部署に任せていた打ち手の立案から次のアクションにつなげるPDCAについても、本部として改善のアクションなどの方針を示すことも可能です。現場にとって管理しやすいインターフェースがRaySheetで整備できたからこそ」と松田氏は評価する。二重入力の手間もなくなったことで現場からも好評で、確実に作業時間の削減にも大きく貢献しているそうです。
また以前は物件ごとの見積進捗管理は別のシステムでしか管理できなかったが、Salesforceと連携したことで今ではRaySheetの一覧画面から情報更新できるようになり、RaySheet上で更新した情報を物件見積システムに戻す処理も行われているほど。「従来は物件見積システムからCSVでダウンロードしてExcelで更新された最新情報を改めて物件見積システムに転記するような処理が発生していました。今ではその手間もなくなるなど、作業の効率化につながっています。取引先画面に対して現場からの要望に対応した項目を追加していくと、どうしても見づらい画面になってしまいますが、RaySheetがあればユーザーごとに配置を変えたシートを別に作成でき、作成した項目もしっかり使ってもらえています」と福田氏は評価します。
グレープシティに関しては、手厚いサポートがあったことで効果的な基盤づくりができたと高く評価する。「自分たちで調べながらでも簡単に適用できましたが、分からないことにも真摯に回答いただいています。定期的にセミナーも開催いただき、管理者の立場としてもとても助かっています」と松田氏。
■ SalesforceとRaySheetの活用をさらに拡大、受注率向上の効果に期待
すでに進捗管理が必要な業務を中心にRaySheetを適用して実装が進んでいるため、これからは入力率や定着に向けた活動について営業推進部として積極的に取り組んでいきたいとのこと。また、現状はSalesforceの詳細画面に直接RaySheetを埋め込むような環境は作り込めていないため、現場の使い勝手向上につながるような仕組みづくりに向けて、さらにブラッシュアップを検討しています。「Salesforceの画面に自由にRaySheetを埋め込める機能自体は理解していますので、どう活用していけるのかをしっかり把握したうえで、現場にうまく適用できるようにしたい」と福田氏。他システムとの連携も含め、SalesforceとRaySheetの活用を一層加速させていきたい考えです。
さらに、当初からSalesforceで顧客管理基盤を整備することで、ロイヤリティの高い顧客の創造が目的となっており、RaySheet適用の効果について期待しているとのこと。「RaySheetで物件進捗がリアルタイムに把握できるようになっているため、受注率向上につなげていけるような施策に取り組んでいきたい。また、これまでは現場が持つデータを流し込んで本部として活用してきましたが、今はRaySheetに直接営業が入力、編集できるようになっています。数値管理の観点からも従来とは大きく変わり始めているところで、そのための欠かせない基盤として今後もRaySheetをしっかり活用していきたい」と松田氏に今後について語っていただいた。
RaySheetの導入効果
- 顧客情報に紐付いた物件情報を1つの画面で俯瞰できるため、ビジネスの全体把握が容易になった
- 営業部門の活動報告を入力する際の負担を大幅に軽減できた
- 取引先ごとに月単位で活動実績を把握でき、評価と次の施策を打ちやすくなった