取材協力:2022.1
全国の就労支援センターで業務フローの統一と一元管理を実現。
日報をベースとした障がい者の支援実績管理にSalesforce+RaySheetを採用。
株式会社チャレンジドジャパン様
※ 事例記事の内容や担当者所属は取材当時のものです。最新の情報と異なる場合がございますのでご了承ください。
障がいの有無に関わらず、個々の特性に応じた就労支援や定着支援を手掛けている株式会社チャレンジドジャパンでは、全国に点在する拠点ごとに行ってきた業務のフローや書式を統一するべくSalesforceを導入、レポート画面で表示できる情報量を増やすことで支援実績確認の効率化を実現するためにグレープシティが提供するAppExchangeアプリ「RaySheet」を活用しています。その経緯について、取締役 副社長 大塚 裕介氏およびシステムグループ 小嶋 泰河氏にお話を伺いました。
【課題】業務基盤として選択したSalesforce
宮城の地で2008年に創業し、障がいのある方を中心に個々の特性や強みを生かした職場で活躍してもらえるよう、障害者総合支援法に基づいた就労支援や定着支援事業を手掛けている株式会社チャレンジドジャパン。現在は全国に24の拠点を展開しており、2022年2月現在時点で、800名ほどが新たな職場での就労を支援する就労移行支援サービスや就労定着支援サービスを利用しています。また、企業向けの障がい者雇用コンサルティングや、障がい者が描いた原画をデザイン化し、売り上げを障がい者に還元してクリエイターとしての自立を促すデザイン事業も手掛けるなど、すべての人が役割を持ちながら認め合うことのできる社会の実現を目指しています。
そんな同社では、全国展開している就労支援センターごとに業務フローが部分最適化されており、就職を希望する登録者の情報や受け入れ側の求人情報などが個別に管理されていたとのこと。
「全国各地にあるセンターごとの利用状況を知るためには、各センターに問い合わせしなければならないなど、情報管理の面で課題が顕在化していました。管理する立場として、情報を一か所に集約し、業務を行うフローや書式を統一できるような環境づくりが必要だと考えたのです」と大塚氏は当時を振り返ります。
また、情報の管理手法が統一されていないことで、業務的にもやりにくい状況が続いていました。「Googleスプレッドシートで共有できる環境はありましたが、センターごとにファイルが分かれているだけでなく、管理項目も統一されていない。どんな情報を記録してどんな活動を行えばよいのか、業務基盤を確認することで誰でもすぐに分かるようにしたかったのです」と大塚氏。
取締役 副社長
将来的には顧客情報の管理など営業的な観点でも役立てたいという思いもあり、グローバルに実績のあるSalesforceで環境整備することを決断。受け入れ企業や関係機関、利用者情報などを管理するマスターデータはもちろん、センターの利用実績などを管理する日報など、Salesforceを中心に業務基盤を整備することに成功しました。
SalesforceとRaySheet導入前の課題
- 全国各地にある就労支援センターごとに業務管理方法が異なっていた
- 利用者とスタッフで情報を共有し一元管理できる全拠点共通の業務基盤を必要としていた
【選定】Salesforceのレポート画面をより快適に利用できるRaySheetに注目
就労支援業務において多くのスタッフが日常的に利用する日報業務は、利用者の体調や作業状況を本人が入力したうえで、スタッフが追記することでレコードが生成されます。記録された情報は、随時スタッフがSalesforceのレポート画面から確認することになるが、運用していくなかで改善点も見えてきたという。実はSalesforceのレポート画面は表示できる文字数に制限があり、詳細な内容を確認する場合はレコードを一件ずつ開いたうえで、確認・編集せざるを得ない状況でした。
「データベースとして情報を管理するという視点では、入力できる文字数などには当然制約が出てくるため、やむを得ないことだと現場には説明していました。それでも、現場作業の負担を可能な限り軽くし、利用者に対する時間を可能な限り確保してあげることも大切だと考えたのです」と大塚氏。
そこで注目したのが、Salesforce上でExcelライクに情報が確認でき、手軽にメンテナンスできるRaySheetだった。実はSalesforce上でExcelのように表示できる他のツールをはじめ、帳票出力用のエディターなど複数のソリューションを同時に候補として検討したものの、最もシンプルかつ活用しやすいと判断したのがRaySheetでした。
「日報データをファイルに出力して確認するソリューションでは、スタッフがコメントを入力した後Salesforceに戻す処理が発生するなど、手間の削減にはつながりません。RaySheetであればSalesforce上で直接編集できますし、セルをグルーピングして見やすくするなど、まさにExcelのように利用できる点を高く評価しました。設定についてもボタンのシート配置などが分かりやすく、システムの経験がなかった私でも十分運用していけると考えたのです」と小嶋氏は評価します。
システムグループ
その結果、レコード情報を一覧画面から手軽に確認、編集できるソリューションとして、グレープシティが提供するRaySheetが採用されることになりました。
【効果】Salesforceの利便性を向上させるRaySheet
■ 日報作業の効率化に役立つRaySheet、情報の扱いやすさを格段に向上
現在は、紹介先企業の取引先担当者などの顧客情報をはじめ、障がいの種別や生育歴を含めたセンター利用者の詳細な情報などがSalesforceで一元管理されており、数ヶ月おきに見直しが必要な項目についてはTODOにて管理。また、従来は電話やメールを使って行っていた利用者に関するスタッフ同士のやり取りをChatter(Salesforce専用のビジネスチャットツール)に集約することで、周囲の担当者が見ても利用者を中心とした情報を容易に把握できるようになっています。
日報に関しては、ポータル機能を提供するSalesforce Experience Cloudに毎日400名以上の利用者がアクセスし、日々の体調や訓練内容などを入力するという。Salesforce側に蓄積された情報をもとに、全国200名ほどのスタッフがRaySheetを使って日報内容を確認、必要に応じて追記するといった編集作業を行っています。
「記載された文字数が多い場合でも、RaySheetであれば一覧画面で全ての情報が手軽に確認できます。閲覧や編集のためにレコードを開いたり確認のために出力したりする必要もありません。スタッフからも好評です」と小嶋氏。
この日報をベースに出勤率や作業時間、睡眠時間の推移など、利用者の状況を的確に分析し、支援方針や計画に役立てており、日報を作成した数が利用人数としてカウントされ、最終的にセンターの実績の把握につながります。他にも四半期に一度見直す支援計画などでも、RaySheetが活用されています。
■ 現場への安心感を醸成、スタッフが抱く会社への期待に応えるツールに
現場からは、RaySheetであれば安心して情報に触れることができると評判だとのこと。以前運用していたGoogleスプレッドシートでは、編集した時点で勝手に内容が反映されてしまうが、RaySheetであれば保存ボタンの押下で情報が切り替わるため、きちんと確認したうえで更新できる。現場に対する安心感の醸成につながっているそうです。
「現場の要望を全て叶えることは難しいものの、できる範囲は少しでも改善を続けていきたい。ある意味では、ツールに対する要望は会社に対する期待であり、その環境づくりにRaySheetが役立っているわけです」と大塚氏は評価します。
日報以外にも、情報の一括更新作業に役立っていると小嶋氏。
「センター名が変わるタイミングで、ドメイン名を全て変更せざるを得ないことがあったのですが、もしRaySheetがなければレコードを1つずつ開いて修正していくなど、かなりの作業量が発生していたでしょう。RaySheetの画面から一括更新できたことで、負担も大きく軽減できました」と情報の扱いやすさについても評価の声が寄せられています。
管理の面では、利用状況に関するレポート作成を定期的に実施しているが、エクスポート後のExcelイメージがRaySheetによって事前に把握できるなど、レポート作成においてもRaySheetが役立っていると小嶋氏。特にSalesforceが提供するレポート機能とは違い、項目ごとにフィルターが設定でき、並べ替えだけでなく絞り込みまでできる点が魅力的だと力説しました。
■ データローダに代わる情報の一括更新の仕組みとして活用、営業プロセス管理にも拡張
今後については、スタッフが毎日確認・入力する日報業務においてRaySheetでさらに使い勝手を向上させていきたいという。またSalesforceの管理面でも情報の一括更新などで利用しているデータローダだけでなく、オブジェクトの数やその項目など変更がある際には、RaySheetをうまく活用することで工数削減につなげていきたいと小嶋氏。
「以前はデータローダで数千件におよぶ企業情報や関係機関の情報の修正を行っていたのですが、今後はRaySheetをうまく活用してデータ修正作業の負担を減らしたい」とのこと。
またSalesforceの活用については、現状センター業務の支援に活用している部分から、営業活動に向けた機能拡張にも取り組んでいきたいそうです。
「企業や関係機関の情報がしっかりマスターとして管理できるようになったことで、商談管理など営業のプロセス管理にSalesforceが生かせるはず。マーケティング活動も含めて、本来Salesforceが得意な領域に展開していきたい。もちろん、随時見直しが入るような業務には、一覧画面から情報更新できるRaySheetが今後も役立ってくれるはずです」と大塚氏に今後について語っていただきました。
RaySheetの導入効果
- 全国の就労支援センターで統一した業務管理を実現
- 日報をベースとした実績データから利益につながるアクションを起こせるようになった
- 日報の効率化によりスタッフが利用者の対応に充てる時間を増やすことができた