取材協力:2019.2
RaySheetの導入でSalesforceの活用が進み、業務の標準化を実現できた
株式会社ブロードリンク様
※ 事例記事の内容や担当者所属は取材当時のものです。最新の情報と異なる場合がございますのでご了承ください。
株式会社ブロードリンク様は法人向けの情報機器のリユース企業です。法人で使っていたパソコンやサーバー、タブレット、スマホ、ネットワーク機器などを回収し、再販しています。設立は2000年。すでに全国17拠点を展開し、取引先は上場企業の4分の1を占めています。取り扱うパソコンの台数は年間100万台以上で業界ナンバー1です。
企業が情報機器をリプレースするときに求められるのはセキュリティです。ブロードリンク様では鍵付きのカーゴやGPSを搭載した車両で回収し、各地にあるセキュリティ完備のセンターに移送します。そこでデータ消去を行い、証明書を発行。企業が安心して情報機器をリユースできるようあらゆるフェーズで徹底したセキュリティ管理を行っています。依頼する企業にとっては単に廃棄処分にするよりも、買い取り金額が発生するためにコストを抑えられるというメリットがあります。現在は各種許認可を取得し、情報機器以外の買い取りも行っています。
そんなブロードリンク様では、CRM(顧客管理ツール)として2011年からSalesforceを導入。その後、Salesforceで対応する業務が拡大し2016年に本格的に全社で活用することになりました。そこで大量のデータを扱うときに課題が発生し、これを解決するために2018年10月に「RaySheet」を採用いただきました。今回は、「RaySheet」を導入するまでの経緯や課題、導入効果について株式会社ブロードリンク取締役副社長の村上 崇様とマーケティング・IT戦略本部 副本部長の若狭谷 拓様にお話を伺いました。
【課題】全社で一気通貫した情報共有のプラットフォームが必要になった
Salesforceは2011年に導入しました。それまで使っていたCRM/SFAツールでは主に取引先に対する行動管理をしていたそうですが、ブロードリンク様の業務では顧客がPCをリプレースする周期や、購入しているのかリースしているのかといった情報が重要になります。こうした情報は営業が顧客のところに訪問した際に話題になりますが、従来のCRM/SFAツールの機能は行動管理が中心で商談管理に必要な項目の自由なカスタマイズができず、リプレース時期を忘れてしまったり、担当が変わったりすると、タイミングよく声かけできないことが発生していたそうです。そこで、商談に関する項目を業務に合わせて自由にカスタマイズできるSalesforceを導入することになりました。
Salesforceは商談管理に問題なく使っていたのですが、営業部にのみ導入したので同じ案件でありながら、機器の回収を担当したりデータを処理したりという業務を行う他の部署のメンバーとは情報が共有できませんでした。他の部門は別のグループウェアを使っていたので一元管理ができなかったのです。
株式会社ブロードリンク
取締役 副社長
「受注したら回収の日程を調整して、ドライバーが行って回収して、テクニカルセンターに入り、データ処理の後は証明書を出します。その処理がどこまで進捗しているかといった業務連絡が重要になります。営業と他の部門をつなげて一貫して管理したいという課題が出てきたのです」(村上様)
そこで、ブロードリンク様では全社の業務プラットフォームとしてSalesforceを本格的に使ってくことになりました。2016年のことです。まずは、Service CloudとField Service Lightningを導入し、機器の回収を担当するドライバーがスマートフォンでスケジュールを確認できるようにしました。案件に関するスケジュールのすべてはSalesforceで管理し、物流スケジュールを組んでいます。従来の配車システムでは難しかった独自項目を設定し、ワークフローを承認プロセスで自動化しました。ちなみに、Field Service Lightningを日本で初めて導入したのがブロードリンク様だそうです。
【導入】プロセスビルダーで全社業務をつなぐことに成功
Salesforceを全社で活用することで商談案件と物流がつながり、進捗を管理できるようになりました。回収した機器がセンターに入ってからの処理は基幹システムで行っていますが、進捗はAPI連携することでSalesforceで管理できるようになっているとのこと。作業が終わると証明書が発行されます。こちらも自動的にSalesforceに入るようにしているので、後は営業担当が顧客に提出するだけとなります。全体で12ある業務ステップも、承認プロセスを活用して処理しているそうです。
「Salesforceを営業だけが使っているときは少し便利になった、という程度だったのですが、Lightningプロセスビルダーで業務を繋げ始めてから活用が深まりました。我々は内部に情報システム部門を持っているわけではないので、基本的にはプログラミング経験のないメンバーで、自習しながらカスタマイズしたいと考えており、そこにSalesforceがマッチしたのです」(村上様)
■ 大量の情報の一括入力に手間がかかりすぎる
しかし、業務が拡大するにつれデータの量も大きくなってきました。全国2万カ所からの回収という巨大案件も受注したのです。ドライバーが情報機器を回収するためには、回収先の住所や担当者の情報、引き取る物品の情報などさまざまなデータが必要です。当然、Salesforceで管理したいのですが、課題が出てきました。
回収拠点の数が少ないときは、1レコードずつ登録して保存という作業をしていたそうです。これも面倒な作業ですが、拠点数が増えると当然対応できません。そこで、Salesforceのデータローダ機能で情報を一括取り込みすることにしました。業務効率はもちろん向上するのですが、データローダを使うスキルのある人に業務が集中してしまうことになりました。
「これはなんとかしなければと、もっと簡単にデータを流し込める方法を探しました。Excelのアドインの機能でSalesforceにログインできるというソリューションで、データの取り込みができました。これで、とりあえず業務の集中は解消されました」(若狭谷様)
株式会社ブロードリンク
マーケティング・IT戦略本部 副本部長
しかし、今度は別の問題も発生してしまいます。そのソリューションはExcelファイルを利用するので、ユーザーが入力する項目を自分で選択、設定し保存します。そのため、どんどん自分用にカスタマイズされていくのです。10人が使うと、10人ばらばらのExcelファイルがローカルにできてしまうようになりました。データ入力の分散化はできたのですが、標準化ができなかったのです。
「Excelの使い方が人によってばらばらなので、担当が変わると前はできていたことができなくなり、また一から組みなおさなければなりません。使い方の共有がしにくかったのです。これもなんとかしないと、と再び解決策を探していたときにAppExchangeでRaySheetを見つけました」(若狭谷様)
Salesforce上でExcelライクなデータ入力ができるということでニーズには合致していました。「グループ化やフィルタリングができるなどExcelそっくりのレイアウトを見てすぐに導入を決めました」と村上様。
従来からExcelのピボットテーブルをよく使っていたためRaySheetのグループ化や集計機能で階層の目線の誘導ができるところに魅力を感じたそうです。データメンテナンスだけでなく、データの加工・活用にも使えるのではないか、と考えたのです。
RaySheet導入前の課題
- 大量のデータをSalesforceに一括入力したい
- ローカルに散在するExcelファイルをなくしたい
- 業務で必要な作業を標準化したい
【導入効果】一括入力の手間は半減、全社活用も進みExcelファイルも削減できた
2018年にRaySheetが導入されました。大量の拠点入力作業が誰でもできるようになり、業務に必要な作業の標準化ができました。営業案件だけでなく、人事台帳や人事評価シートなどもSalesforceで運用し始めているそうです。
他には人以外に機器を回収する際に使う車両の情報も管理しています。車両には点検というオブジェクトを作り、日々の点検はスマートフォンを利用してSalesforceに入力するようにしました。従来は紙ベースで管理していたそうですが、今では異常が出ればすぐにアラートメールが飛ぶようになっています。さらに、RaySheetで入力・更新した車両情報をビューで見れば、走行距離やかかっているコストがわかるので、車両交換の判断にも活用しています。
あらゆる情報をSalesforceに入れることにより、人や取引先、物、案件などに自動的に情報が関連付けられるようにするため、RaySheetを全社的に使っていこうとしているそうです。
「Salesforceの活用が進むことで、ローカルにあるExcelファイルも徐々に減っています。RaySheetはExcelのように使えるので、今までExcelで作業していたものを乗り換える時の心理的な負担がありません」(村上様)
データローダを使っていたときと比べると、RaySheetによる作業の手間は半減したそうです。「今RaySheetがなくなったら仕事ができなくなるレベルです」と若狭谷様。
とは言え、導入当初はうまく動作しないこともあったそうです。
「RaySheetを導入した当初、何かを更新するとビルダーが動作してしまい、タイムアウトになってしまうと言うことがありました。せっかく一括更新できるのに、200件ずつ分けて処理しなければいけなかったのです。しかし、RaySheetのアップデートにより、バッチサイズを選べるようになったので一切止まらず更新できるようになりました。頻繁にアップデートしてくれるのはかなり大きなポイントです」(村上様)
■ 社員が積極的にビューを活用し全体のスキルレベルが向上した
RaySheetの導入はデータの入力だけでなく、簡単にビューを共有できることもメリットとなったそうです。部下たちが「私こんなビューを作ったんですよ」とか「どんなビューを作っているのか見せて下さい」と言うことが多くなり、使い方の自主学習がメンバーへの拡散につながっているとのこと。
「RaySheetにより、Salesforceの情報の活用方法を共有できるので、みんなのレベルが一緒に上がっていくのがわかります。これはとても大きなメリットになっています」(若狭谷様)
例えばRaySheetの「検索パネル」の使い方などもこうした共有から広がりました。検索パネルはユーザーが条件を変更しデータの絞り込みができるUIをRaySheet上に設置できる機能です。RaySheetには、Excel風のフィルタリングもあるのですが検索パネルでは複数の条件を指定してボタン1つで適用できるので、視認性が良く感覚的に使える点が刺さっているようでした。検索パネルで自分が見たい情報を意識することでSalesforceのデータ活用がより進んだそうです。
取材時に実際に運用している画面を見せていただいたのですが、ダッシュボードからURLリンクを張っているのもユニークでした。ダッシュボードで異常値を見つけたときにクリックすると、RaySheetで作成したビューに遷移できるのですぐに正しい値に修正できます。従来のダッシュボードからレポートを出して、レコードを開いて修正するという作業より効率よく対応できるようになったそうです。
ブロードリンク様では今後もSalesforceの活用を進め、すべての情報をSalesforce内で扱うようにしていくとのこと。部署ごとの承認フローで業務を流していくだけで、結果や履歴が更新されていくような形を目指しています。
「RaySheetはSalesforceへのデータの入力を効率化するだけでなく、Excelライクな表示や検索パネル機能等により、標準のレポートやビューよりも優れたデータの閲覧性を備えるツールです。データの入力・確認・活用までRaySheetを幅広く活用することで、全社業務の効率化がさらに進んでいくと思います」と村上様は語ってくれました。
RaySheetの導入効果
- 手軽に大量のデータを一括入力できるようになった
- これまで移行が難しかったExcel業務の移行が進んでいる
- 誰かが作成したRaySheetを共有することで学習が深まり、メンバー全体のSalesforceの使い方のレベルが上がってきた