取材協力:2018.9
RaySheetの「ワーク列」を活用して学校に紐付く多数の項目を効率的に管理。情報の集約と工数の大幅削減を実現した
株式会社ベネッセコーポレーション様
※ 事例記事の内容や担当者所属は取材当時のものです。最新の情報と異なる場合がございますのでご了承ください。
株式会社ベネッセコーポレーションは教育や介護、出版などを幅広く手掛ける、岡山県岡山市に本社を構える企業です。「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」といった通信教育のイメージを持っている人も多いかもしれません。Benesseはbene(よく)とesse(生きる)を組み合わせた言葉で、「よく生きる」という意味です。
「進研模試」や学習状況を測定するスタディサポートなどを高等学校に提案する営業部門では、営業の訪問先は学校の先生が中心です。生徒さんを相手にするのとは異なり、同社の中では営業色が強い部門でもあります。そんなベネッセコーポレーションでは、2012年にSalesforceを、2018年にRaySheetを導入しました。その採用に至るまでの課題や経緯、導入効果について、Salesforceの運用を担当している学校カンパニー 営業基盤課 営業基盤グループの松嵜剛氏、同営業基盤課 顧客対応グループの須賀中清志氏、そして営業現場を見ている本社 高校事業部 営業企画課の赤松正盛氏にお話を伺いました。
【課題】従来のシステムが使いづらくExcelファイルでの管理が横行していた
2020年度からセンター試験に代わるテストとして「大学入学共通テスト」が導入される予定です。2018年度の高校1年生が3年になる時から対象となるので、ベネッセではすでにそこに向けて様々な商品の改訂やラインナップの拡充を行っています。同時に、要望などを一部の学校にヒアリングして情報を蓄積し、活用したいというニーズもありました。しかし、その情報量は膨大です。
「高等学校は現在5200〜5300校あり、弊社はそのうち9割以上の学校と取引をしています。そのため、全国に9支社を展開しています。営業担当だけで数百人もいますので、高校営業部は社内でも最も人数の多い営業組織となっています。」(須賀中氏)
営業担当者は1日に4校前後を訪問して回り、扱う情報は相当な量です。しかし、当時利用していたオンプレミスの顧客管理と案件管理システムは、動作が遅かったり、表示画面のサイズを変えられないなど、ストレスを感じていました。検索性も悪く、何かを調べる際も大昔の情報が出てきたりと管理しにくいという課題もありました。
そのため、案件ごとにExcelファイルを作って管理するようになりました。毎月10個くらいのExcelファイルが作成され、必要に応じてメールで共有されていました。しかし、Excelファイルだとまず目当ての情報を共有フォルダーから探すのに苦労します。Excelでは入力や操作のミスが発生しますし、レポートも出せません。そこで、松嵜氏は何か代わりになるツールがないかと検討しました。
RaySheetの導入前の課題
- 2020年度に変わる制度に対応すべく扱う情報が増えた
- 古いシステムが遅く、使い勝手が悪かった
- Excelファイルでの管理に手間がかかっていた
【導入】Excelと似たUIと機能がSalesforceで動くRaySheetを見て「使える!」と直感
そこでベネッセは新システムを検討し、活用しやすいことと、導入などの支援をしてくれるSI企業がたくさんあること、などが決め手となりSalesforceを採用することになりました。ユーザ―サイドでカスタマイズが可能である点も理由の一つになったそうです。
導入後は、スピードやカスタマイズ性、検索性が改善されました。さらにこれまでは扱えなかった物流や販売に関する情報などもまとめて蓄積できるようになったのが大きなメリットだったそう。さらにはそのデータをレポート機能で二次的に活用することもできました。
ベネッセでは、学校情報を取引先ではなくカスタムオブジェクトとして作成しているそうです。導入や運用、開発に関するデータなど、学校向けの商材に関する項目は多岐にわたり、多数の項目を作成して運用しています。これらの項目を作成しているのは、主に赤松氏です。
「営業担当者はSalesforceの画面を毎日のように見ています。だいたい1日4校ぐらい訪問するので、前回の訪問でどこまで営業が進んだのか、情報を更新したり、確認したりしています。別画面で作るより、学校情報にある方が確認しやすいです。Salesforceに情報を集約させていくような感じになっています」(赤松氏)
Salesforceによりスピードや検索性といった課題が解決され、情報の共有がより早くスムーズになりました。しかし、それでもExcelファイルを使った運用は続いていました。例えば、顧客をセグメント化する場合、本部でExcelファイルを作って9つの支社に展開、各支社内で各営業担当者に届けていく流れでした。そして、各支社は営業担当者からExcelのリストファイルを集約して本部に上げ、本部が9支社の情報を集約していました。しかし、支社には各営業担当者に更新したかどうかを確認しなければならないなどの大きな負担は残ったままでした。もちろん、学校のデータはSalesforceに入っているため、いちいちコピー&ペーストする必要もあります。固定の情報を二重で入力するのは作業時間と労力が無駄になってしまいます。そこで、松嵜氏はこれらのExcelファイルをなるべくSalesforceに集約したいと考えていました。
「2017年にRaySheet(当時の製品名はGrapeCity Spreadsheet)を見た時に、直感的に自分たちの業務で使えそうだなとイメージがわきました。Salesforceの情報が簡単に取れるというのもよかったです。UIをExcel風にすることができ、細かいことですがカラーリングが緑色であることによりExcelに慣れた人に馴染みやすいのもポイントでした。営業本部と話をした時もよさそうだということになり、まずは無料版を使わせていただき、2018年2月に導入したのです」(松嵜氏)
RaySheetの導入はスムーズに進みました。やはり、スマホやタブレットに慣れている若い人たちは抵抗なく使ってくれたそうです。ベテランだと自分だけのExcelを作って仕事を進めたりしているので、うまく使ってくれないこともあるとのこと。「その場合は、地道に繰り返して説明していくしかないです」と赤松氏は語ります。
【導入効果】Excelファイルのやりとりが激減し、まずは100時間/月の削減を達成した
脱Excelが進んだことにより、顧客をセグメント化する作業では月あたりにすると100時間近くの大きな時間削減になったそうです。
「例えばExcelに入力する時にファイルを探したりする導線とか、自分の担当だけを表示するようにフィルタリングするという操作も必要なくなるので、もっと効果としては出ていると思います」(松嵜氏)
一部の顧客向けのヒアリングなど、Salesforceの項目として登録しない情報もRaySheetで扱えるようになったのも大きなポイントでした。RaySheetの「ワーク列」なら一時的な作業に使う情報を記録できます。項目を増やさずSalesforce上で情報を共有できるのです。将来、どうしても必要になった項目のみ、Salesforceの項目に昇格させるという使い方もできます。
「RaySheetを初めて見たときは、画期的だなと思いました。ワーク列を使えば、Salesforceのデータとシームレスに紐づけられるのが一番大きなメリットです。」(赤松氏)
最後に、今後の予定を伺ってみました。「これから世の中に出していくサービスに対しての、ヒアリングなどの進捗管理に活用していく予定です。Salesforceの正式な項目にする前にRaySheetのワーク列で展開していきます。タイムリーに情報が連携できるというのはやっぱり便利ですので」(松嵜氏)
2020年の試験改定にむけて、高校ではすでに英語の4技能講座を開講しています。これまではすべて紙とExcelで運用していたそう。須賀中氏は「去年まではすべてアナログ運用でしたが、現在は、これをSalesforce上で運用するためにRaySheetの適用を進めているところです」と語ります。
「さらに、様々な情報が蓄積されてきたら、営業の統計的なデータを取れることも期待しています」と松嵜氏は語ってくれました。
RaySheet導入後の効果
- 情報の二重入力がなくなり月間100時間近い作業時間の削減を実現した
- ワーク列を活用してSalesforceの項目に追加する前にテストできるようになった
- 顧客情報を中心としたExcel業務をSalesforceに集約できるようになった
※ 事例記事の内容や担当者所属は取材当時のものです。最新の情報と異なる場合がございますのでご了承ください。